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わたしは、海に面した自室の窓から空を見上げていた。水平線を挟んで、薄い雲が覆い尽くしている。沈みかけた太陽の光が、雲を突き破るようにして、幾筋か海面に降り注ぐ。
自分の予測通りに現れたことに満足していたが、その日の現象には少し違和感があった。普通ならば、雲から差す光は一筋になるか、遠近感によって放射状に広がって見えるはずだ。ところが、海に差し込む光の中に、一筋だけ入射角が大きく異なる光が混ざっていたのだ。
雲の形状によってはそういうこともあるだろうと思い、その日は深く考えなかった。実際、二週間後に見られた梯子は、綺麗な放射状に広がる形状だった。
さらに二週間後。わたしは再び違和感を抱くことになった。
梯子の中で一筋だけ、他の光と交差しているものがある。わたしはとっさに机の上のスマホに手を伸ばした。しかし、目を離したほんわずかの間に、その光は消えてしまい、写真に収めることは出来なかった。
二度までなら、偶然ということもある。半年をかけて観察した結果、わたしはその現象自体にも発生する条件があることに気づいたのだ。
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