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『私は、季節のおすすめコースで。』
『僕は革新のホットコースで。』
『かしこまりました。ごゆっくりどうぞ。』
革新のホットコースというのは、色々な辛旨料理をコース形式で出してくれるというものらしい。
『小エビのサラダと、食べるラー油掛け揚げネギサラダです。』
小エビのサラダは由紀に、食べるラー油掛け揚げネギサラダは僕に給仕された。
まずは僕が一口。
『うーん、美味しいよ。』
由紀が一口食べようとしたとき...
『うっ...』
『どうした？』
『なんか、わかんない。』
『アレルギーとかはある？』
『いや、ないはずだけど。』
由紀はもう一度食べようとする。
『うっ...』
『由紀、もしかして...』
『そうかも。』
翌日、産婦人科に行き、検査してもらった。
『結果は？』
『妊娠していらっしゃいます。』
『え、由紀、よかったーー！』
『あはは、よかった。』
『僕の子だ！大事にしような。』
『妊娠時の注意点についてこの紙にまとめてありますので、よくお読みください。』
結構分厚い紙の束だが、いいんだ。
由紀と子どものためなら何だってできる。
『うーん、子供の名前、なんにしようか。』
『いくつか考えておいたんだよ。この紙に書いたから見て。』
『うわぁ、いいね。』
『こういうのって、直感で選ぶのがいいんだって。』
『そうなの？じゃあ、「怜花」かな。』
『うん、良いと思う。それにしよう。』
『うん！』
数ヵ月後、2006年6月2日、ついに生まれた。
安産祈願の神社に言ったお陰かな。
『生まれたよ。』
『ああ、可愛いなぁ。なんてちっちゃい。』
『抱いてみる？』
『え、うん。』
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