ダシのウソ、ボクたちの本当(2015年8月)

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「めんどくさー…」  思わず言っちゃって、首を振る。  この作業が大事なんだ、たぶん。  ボクは、煮干の頭とワタを取る作業を続けた。  ボク、ラクト。  千葉の中二だけど、自分探しにおじさんちに来ている。  ボクは外でスカート履けるほど強くなかった。なので今はエプロンを着ている。そのついでにご飯の支度も始めたけど、こっちも結構難しい。  料理は、家庭科で習っただけだ。今朝、味噌の袋に書いてある分量で味噌汁を作ったけど、煮干も家にないからダシもないし、しょっぱくて美味しくなかった。  だから今日、おじさんが夏期講習の授業しに行ってる間に、近所のスーパーで買い物してきた。ドキドキだったけど、エプロン姿に特に何も言われなかった。  ウチと同じ煮干もあった。こんな高いんだ……でも買う。  おかずは、おじさんの希望で、コンビニでザンギという唐揚げを買った。千葉では見たことないコンビニだけど、めちゃくちゃ惣菜の種類あってビックリした。すごい。  昼ごはんに、そこでお弁当と小さいナポリタンを買って食べてみた。美味しい!  ダシの取り方はネットで調べた。失敗した時用に、少し多めに下処理しとこうっと。二人分の煮干を鍋に入れ、水に浸しておく。  今夜は、親戚の家で食べて美味しかった、大根と油揚げのコンビにしてみよう。  沸騰したら弱火に。  おじさんち、お玉しかない。湯豆腐食べないのかな。アク取りの難易度アップ。上手く取らなきゃダシ汁がなくなってしまう。  ザルで煮干をこして、ダシ汁の完成!  さっそく味見してみる。すごい、これがダシ‼︎ これが出来立ての煮干の香りとうま味!  ……え?  乾燥ワカメとネギを入れ、味噌をとかす。  味見する。普通に美味しい味噌汁が出来た。 「……なんで?」
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