ワンダールームシェア

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 私が御札を剥がすまで、彼女は一人で真っ暗な空間に居たらしい。会社での人間関係にほとほと疲れ切っている私は、誰にも干渉されない、自分一人になれる空間なんて羨ましいくらいだ。  でも、それが自由に出入りできなくて、何年先に出られるか、もしかしたら、永遠に出られないとしたら?  想像するだけで、ゾッとする。  それなら、シズナを少しばかり甘やかしてあげても良いんじゃないかと思う。緊張も嫌悪感も、ぐっと呑み込んで。  そんな大人の寛容さを見せつけようとしたのに、シズナときたら、 「ところでお姉さん、そろそろご飯は?」  と、ケロッとした表情で尋ねてくる。さっきまでのしおらしい表情はどこにいったのやら。 「え? 私が作るの?」 「だって、お姉さんの部屋だし。それに、やっと出てこられたから疲れちゃって。ほら、わたしの出所祝い? ってことで」 「出所祝って……。仕方ないか」  呆れながら、私は台所へと向かう。  なんだか、着々と彼女にパーソナルスペースを侵されている気がする。そして、それをまんざら悪いものでもないと感じている私もいる。  不思議な感覚。 ###  朝。ここ最近は寝起きが悪く、更に、本当に会社に行かないとダメか、と何度もぼんやりとしてしまうせいで、バタバタと用意をする。そんな忙しなく動く私をシズナはぼんやりと眺めていた。幽霊になれば仕事に行かなくて良いのか。羨ましい。 「じゃあ、行ってくるねっ」  玄関で向き直ることもせずに言い、私は靴を履く。後ろから「はーい」と気の抜けた返事が聞こえた。立ち上がり、玄関のドアを開けようとする。  しかし、
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