夫に殺意を抱く時

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 夫は身体が大きいので会社では、クマさんと呼ばれているらしい。 確かに穏やかな感じだ。 声も優しい。 あまり怒ることもない。 何でも「美味しい美味しい」と言って食べる。 小さいことはあまり気にしない。 なんて良い夫なんだ! だがしかーし! 甘い!甘いのだ。 私が全部片付け終わってさてお風呂に入って寝ようかと思ってキッチンの電気を消そうとした、その瞬間… リビングのテーブルの隅にスチール製のビールタンブラーを発見してしまった。 このビールタンブラー、娘からプレゼントされたもので、キンキンに冷えたビールが飲めて美味しいのだそう。 もちろん、誰でもなく夫がさっきまで使っていたものだ。 洗ってない。 夫ときたらもう先に寝ている。 私はもう今日の任務は完了したばかりだ。 も〜!!!! 軽く殺意を感じながら片付けようとタンブラーに近づくと揚げ煎餅の袋と粉々になった残骸、ティッシュのくしゃくしゃ…発見! も〜〜〜!!! 完全なる殺意を感じながら、見て見ないふりも出来ず片付けるのである。 夫はいつもそうだ。 お菓子など少しだけ残して洗濯バサミで止めておく。 ポテチなんて、袋の隅に粉が残っているだけなのに片付けず洗濯バサミで止めておく。 お菓子だけではない。 私の掛け布団を寝返りをした時に全部持っていく。 寒気を感じて私は起きる。 自分の掛け布団はどこなんだよ?! 眠気マナコで私が見たものは…全部、夫の足元にダマになってあるではないか! やっとの思いで自分の布団を取り戻し私はまた寝るのだ。 こうしていくつもの地雷を踏み続ける夫。 注意をするとしばらくは治るのだが、どう言う事!? 私は今日もまた新たな殺意を感じているのである。
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