冷たい夫と新婚生活

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雲ひとつなく、眩しい太陽の光が降り注ぐ今日は絶好の洗濯日和。白いシーツのシワを伸ばしていく作業は、なんだか心もシャキッとするようで気持ちいい。気づけば、リリスは鼻歌を歌いながら洗濯干しに集中していた。 掃除にしろ、洗濯にしろ、これまでは召使いたちに任せていた仕事だが、ここは人手が少ないようだし、日中も特に何もやることがない。自分が少しでも力になるのならと、喜んで手伝いをしていた。最初は、リリスに対して線を引いていたこの城の使用人たちとも、徐々に打ち解け始めている。 案外、ここでの生活は快適なのではないだろか。と思ったところで、リリスは手を止めた。 (夫婦関係はよくないけれどね……) 思い出すのは、射抜くような鋭い瞳。王家のリリスに対して、よく思っていない彼との関係は、以前変わらぬままだ。同じ城内にいるはずだが、ここ数日は顔すら合わせていない。 「……どうにかならないかしら」 それとも、どうにもならないだろうか。 リリスは、はあとため息をつくと、洗濯物から手を離した。 「あ」 と、そのとき、城門をくぐるダリウスの姿を見つけた。隣には、副官だというクロードの姿があり、いまは二人だけ。リリスは離れた場所で作業をするルーナに、「少しここを離れるわね」と告げると走っていった。
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