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◇◇◇
「昨夜はどうだった」
翌朝、朝食を食べ終えてからリリスたちに見送られ馬車に乗り込んだベリックは、贅を尽くした豪奢な馬車のシートにゆったりと腰掛けながら、同乗している男にそう問いかけた。
「一時は同じ寝室で共に過ごしていらっしゃったようですが、深夜にダリウスが部屋を出ていくところを確認しました。朝まで戻らず、別の部屋で過ごされたようです」
「ほお、なるほどな」
ベリックは流れる景色を見つめながら、ニヤリとほくそ笑んだ。
「これは、オフィーリア様によい報告ができそうだ。……二人の仲がもともと良好ではないのなら、引き離すのも容易いことだろう」
「では、近々王都へ?」
「ああ。もうすぐ王妃の娘の盛大な誕生日パーティーが行われるそうだしな。いろいろと準備は頼んだぞ」
「御意」
手のひらをギュッと握りしめ、薬指にはめた指輪をじっと見つめるベリック。
「待っていろよ、リリス」
そう呟いたベリックは、満足そうに指輪の宝石をさらりと撫でた。
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