王都でのパーティ

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「リリス様、元気がないようですが、どうかされましたか」 朝食後、マチルダの元を訪れたリリスが薬を塗っている最中、そっと気遣うように顔を覗き込まれた。手が止まっていたことに気づき、ハッとしたリリスは「ごめんなさい」と返す。 「ちょっとぼんやりしていただけだから」 なんでもないようにマチルダに笑いかけ、薬塗りを再開した。ところが、その回答に納得がいっていない様子のマチルダは、眉間にシワを寄せて「リリス様」とかしこまった声を出す。諌めるような声色に、リリスは思わず体をこわばらせた。 「な、なんでしょう」 「これまで大勢の人間に出会ってきた私の目を舐めてもらっちゃ、困ります。悩みごとがあるのでしょう?よかったら、私に話してみませんか」 ズバリ胸の内を当てられたリリスは、ぎくりというような表情を浮かべてマチルダの顔を見た。 「……そ、そんなに顔に出ているでしょうか」 「『悩んでます』って顔に書いてありますよ」 リリスはそれを聞いて、がくりとうなだれた。 「……そういえば今朝、ノエにも心配されました。あまり周りに迷惑をかけたくないので、顔に出さないように気をつけていたのですが」 はぁとため息をつくリリスに、マチルダはふと笑みをこぼす。 「いいじゃありませんか、周りに迷惑をかけたって」 顔を上げると、マチルダがやさしげな目でリリスのことを見つめていた。 「……いつも城のみんなは、リリス様に助けられているんですよ。少しくらい、あなたが周りに迷惑をかけたって誰も嫌な顔なんてしませんって」 マチルダからの意外な言葉に目をパチパチとさせるリリス。 「……そうですね」 「では、人生経験豊富なあなたに、相談なのですが」と切り出したリリスに、マチルダは「ふふ、どうぞ」と笑いながら話を聞く体勢に入った。 「……夫と良好な関係を築くには、どうすればいいのでしょうか」 そう尋ねたリリスは俯き、膝の上に置いた手をぎゅっと握りしめた。
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