第十一話 前田犬千代、推参!

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 駆け込んできたのは、信長の腹心だという池田恒興であった。 「そうではございません……。さきほど末森城から書状が……」 「――父上になにかあったか?」  恒興の表情は強張り、次の言葉が発せられるまで間が空いた。 「……大殿(おおとの)が……、身罷(みまか)られたと――」  それは桃の節句と言われる、三月三日のことであった。
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