第十三話 宣戦布告!

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第十三話 宣戦布告!

 この頃――、尾張・織田軍と駿河・今川軍との間には停戦が結ばれていた。  (きん)(じよう)(※時の天皇)・()()()(てい)の停戦勧告が出ていたのである。  これにはさすがの今川義元も、応じずにはいられないだろう。勅命に逆らえば、朝廷を敵に回すことになる。  二年前の天文十九年、鎌倉街道筋から今川軍が侵攻、五月頃には(なる)()はもちろん、(かさ)(でら)あたりまで進出してきた。  鎌倉街道だけでない。岡崎から尾張の守山へつながる街道沿いでも福谷城(うきがいじよう)(みよし市)、岩崎城(いわさきじよう)(日進市)と今川方に奪取された。それでも尾張勢は必至に抗戦したようで、これ以上の侵攻は許さなかったらしい。 侵攻を止めるため、朝廷と繋がりをもつ平手政秀が動いたようだ。  十二月になると後奈良帝が綸旨(りんじ)を出し、織田と今川は停戦することになったという。  織田方にとっては、信秀を失い家督相続で揺れている中での停戦は幸いだったが、今川勢の触手はすぐそこまで伸びている。    ――もう、今川には勝てない。  
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