14人が本棚に入れています
本棚に追加
第十三話 宣戦布告!
この頃――、尾張・織田軍と駿河・今川軍との間には停戦が結ばれていた。
今上(※時の天皇)・後奈良帝の停戦勧告が出ていたのである。
これにはさすがの今川義元も、応じずにはいられないだろう。勅命に逆らえば、朝廷を敵に回すことになる。
二年前の天文十九年、鎌倉街道筋から今川軍が侵攻、五月頃には鳴海はもちろん、笠寺あたりまで進出してきた。
鎌倉街道だけでない。岡崎から尾張の守山へつながる街道沿いでも福谷城(みよし市)、岩崎城(日進市)と今川方に奪取された。それでも尾張勢は必至に抗戦したようで、これ以上の侵攻は許さなかったらしい。
侵攻を止めるため、朝廷と繋がりをもつ平手政秀が動いたようだ。
十二月になると後奈良帝が綸旨を出し、織田と今川は停戦することになったという。
織田方にとっては、信秀を失い家督相続で揺れている中での停戦は幸いだったが、今川勢の触手はすぐそこまで伸びている。
――もう、今川には勝てない。
最初のコメントを投稿しよう!