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今川義元が織田家が今川に屈する道を模索し始めると読んだがわからないが、一部は和睦を考えていたのは確かである。
「……殿がそこまでお考えとは知らず、この佐久間信盛、ここは腹を切りお詫び致しまする」
「やめろ信盛。そんな理由で腹を切ったりすれば、織田家家臣は全滅だ。俺の肚より、敵の肚は知っておくべきだ。違うか?」
「はっ」
信盛は深く低頭した。
「信長さま、こうなったら打って出ましょうよ!」
そういったのは、小姓の前田犬千代である。
「犬千代、子供のお前が口を出すでない!」
叱責する佐々成政に、犬千代は誇らしげに言い返した。
「子供っていいますけどねぇ、佐々さま。一年もすれば元服だがや。派手な初陣を飾るがね」
「お前の尾張訛りを聞いていると、緊張感に欠ける」
一同に笑みが漏れ、信長は決断した。
「恒興、皆を集めろ。出陣だ!!」
天文二十一年四月――、皮肉にも鳴海城主となっていた元織田家家臣・山口教継の息子・教吉と、信長が率いる織田軍の戦いが勃発した。(※赤塚の戦い)
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