第十三話 宣戦布告!

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 信長は兵八百を率いて那古野城を出陣、中根村から野並村を駆け抜け小鳴海に移動、砦を築いたあの三王山へ登った。  すると、山口教吉が三王山の東、鳴海から北にある赤塚に千五百の兵で出陣して来た。 信長も赤塚に進軍し、両者は先陣を繰り出して戦闘に突入した。  しかしあまりの接近戦のため首を取り合うこともなく、勝敗は引き分けとなった。  だが、今川への宣戦布告となったのは間違いないだろう。  騎乗すると、平手政秀の険しい顔に出迎えられた。  停戦に際し、奔走したのは政秀である。  せっかく帝の停戦命令を得られたと言うのに、それを破ったのが養育した信長なのだから当然だろう。  ――なにゆえ、わかってくださらぬ……。  政秀がそう呟いたのを、恒興は聞いている。  政秀の目には、うつけがますます酷くなったと見えるのであろうか。  ――本当の信長さまは……。  恒興は何度「そうではない」と言いたかったか。  政秀自身からかつて「吉法師さまの御味方でいよ」と言われたからではないが、最も近くにいた恒興だからこそ、本当の信長が見える。
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