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第二話 それぞれの思惑
尾張・末森城――。
末森城は、東山丘陵地の末端に位置する標高一寸四分二厘(四十三メートル)の丘に、東西約五寸九分四厘(百八十メートル)、南北約五寸九分四厘(百五十メートル)の規模で東山丘陵の末端に織田信秀が築城した平山城である。
信秀は現在、この末森城に居城している。
「止まれ! 何者だ!?」
前方から駆けて来る馬に、門番が声を荒らげた。
「ふんっ。この柴田勝家の顔を知らぬとは、うぬら新参者だな?」
「し、柴田勝家さま!? と、とんだご無礼を……!」
真っ青になる門番は槍を引っ込め、低頭した。
「殿にお目通り致す! 門を開けよ!!」
勝家はそう叫ぶと、開かれた門内へ駒を一気に進めた。
暫くして――。
「勝家、相変わらず派手な登城じゃ」
壁の織田木瓜紋を背に、その人物は脇息に寄りかかって勝家を笑った。
現・末森城主であり、尾張の虎言われる織田弾正忠家当主・織田信秀である。
「殿、那古野城での噂、お耳に届いておりましょうや」
「あの馬鹿息子、また城を抜け出したそうだな?」
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