第十五話 尾張に吹く旋風! 険しき夢の道

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「殿! 中条家忠(ちゆうじよういえただ)さま、柴田勝家さまが敵将・坂井甚介(さかいじんすけ)首級(しゆきゆう)をあげたとのこと」  使者の報せに、信長は今回の戦の勝利を確信した。 「一気に攻めるぞ!!」  信長が手にする差配(さはい)が振り下ろされ、信長を先頭に騎馬隊が松葉・深田城を囲む敵陣へと雪崩込んでいく。  この猛攻に坂井大膳は怯んだのか清須勢は総崩れとなり、信長は人質とされていた伊賀守と深田城主の叔父を救出、松葉・深田城を奪還したのであった。                ◆◆◆  師走――、尾張の大地を雪が白く染め始めた。  相変わらず今川勢に動きはなかったが、尾張下四郡守護代・織田信友とその家臣・坂井大禅は要注意だろう。 「そうなったら俺が槍で突いてやりますよ!」 「いいな、お前は楽観的で……」 「佐々(さつさ)さま?」  萱津戦ののち、前田犬千代は元服し前田又左衛門利家(まえだまたざえもんとしいえ)(※前田利家)と名を改めた。  そんな利家の発言に佐々成政が呆れ、佐久間信盛が口を開く。 「確かに。今回の戦は向こうから仕掛けてきたが――」
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