第三話 種子島が変えるこれからの戦

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 銃身には底となる部分に尾栓(おせん)と呼ぶネジをはめ込み、中に火薬と弾丸を入れるらしい。 火薬が充填される部分を薬室(やくしつ)と呼び、銃身の外側に設置してある火皿とつながっているという。火皿には点火薬を入れ、火縄につけられた火が入ることで、点火薬から火薬に引火。薬室内で火薬が爆発し、その勢いで弾丸が発射するらしい。 「敵は――、それだけではございますまい」  一巴はそう嘆息する。  これに挙動不審となったのが、林兄弟である。  恒興が察して視線を運べば、林秀貞・林通具は慌てて視線を逸し、わざとらしい咳払いをした。信長もそれがわかってか、 「俺は、彼らを敵視はしていないぞ」  と、銃身を構えたまま言った。 「勝三郎」  不意に信長に呼ばれ、恒興は肩を揺らした。 「は、はい」 「さっそく試し撃ちをする! 的を用意させろ」 「直ちに」  恒興は射撃用の的を用意し、弾を込め終わった火縄銃(たねがしま)を信長が狙いを定める。 「また妙なモノに……」 「やれやれ、困ったお方よ」  聞こえてくる林兄弟の声に、恒興は唇を噛んだ。   
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