第三話 種子島が変えるこれからの戦

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 美濃の斎藤道三が提示してきたものは、なにも眉を寄せるものではないのだが。 「平手どのは気が進みませぬか?」 「相手は蝮の道三、言葉通りに受けて良いものか……」 「用心に越したことはないと思いますが、和睦は信秀公のご意向」  政秀が点てた茶を受け取ると、宗恩はゆっくりと茶碗を回した。 「宗恩どのは、若こそ弾正忠家の跡取りとお考えか?」  話題が信長の話に変わり、口に茶碗を運びかけていた宗恩は視線を上げた。 「拙僧は御仏に仕える身、この戦の世を憂いておりまする。誰かか止めてくれぬかと」  宗恩は武将ではなく僧侶である。殺生は好まないが、世は群雄割拠(ぐんゆうかつきよ)の戦国乱世。  この尾張では織田一族が対立し、弾正忠家内でも火種を抱えている。  尾張を纏め、今川や武田を制するのは誰か――、宗恩は敢えて口にしなかったが。 「それが、信長さまだといわれるか?」  政秀は迷っているようだ。  はたして信長に、その才があるのか。
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