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「守護代大和家家臣・坂井大膳と名乗る者が、殿に御目通りをと参っておりまする」
「大和家の人間が、何用で……」
胡乱に眉を寄せる政秀に習って、恒興もなんとなく嫌な予感がするのだった。
◆
織田大和家――、弱体化を辿る尾張守護大名・斯波氏に代わり、尾張制覇を目論んでいると言われる尾張下四郡の守護代。
あくまで噂だが、織田信秀がまだ古渡城を居城としていた頃に留守を見計らって攻めてきたとされるのが、織田弾正忠家の本家でもあるこの大和家である。
「――坂井大膳にござる」
坂井大膳と名乗る大和家家臣は、そう頭を下げた。
「織田弾正忠家・家老、平手政秀にござる。若殿は多忙ゆえ、某が要件を承る」
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