第五話 老臣・平手政秀、健在なり!

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(しゆ)()(だい)()(まと)()()(しん)(さか)()(だい)(ぜん)と名乗る者が、殿(との)()()(どお)りをと参っておりまする」 「大和家の人間が、何用で……」  ()(ろん)に眉を寄せる政秀に習って、恒興もなんとなく嫌な予感がするのだった。 ◆  織田大和家――、弱体化を辿る尾張守護大名・()()()に代わり、()(わり)(せい)()(もく)()んでいると言われる()(わり)(しも)(よん)(ぐん)の守護代。  あくまで噂だが、織田信秀がまだ(ふる)(わたり)(じよう)(きよ)(じよう)としていた頃に留守を()(はか)らって攻めてきたとされるのが、織田弾正忠家の本家でもあるこの大和家である。 「――坂井大膳にござる」  坂井大膳と名乗る大和家家臣は、そう頭を下げた。 「織田弾正忠家・家老、平手政秀にござる。若殿は多忙ゆえ、(それがし)(よう)(けん)(うけたまわ)る」
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