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守護代に仕える自分が上と思っているのかわからないが、不遜な態度は目に十分に現れている。嫌味を言いに来ただけなら帰って欲しいが、相手は守護代の家臣である。
「そのようなことはござらん」
「信行どのもそう申された。ただ、殿の心配はもう一つござってな。弾正忠家の跡取りは、信行どのという噂でござる。弾正忠家は守護代を支える立場、内紛は困り申す」
「織田弾正忠家のお世継ぎは、信長さまにござる!」
「信行どのも同じことを言われた。世継ぎは兄上であり、兄上を差し置いて家督を相続する気は毛頭ないと。まだ十四歳ながら、実に立派」
「これは……?」
散々文句を言った後、大膳がすっと床を滑らせてきたものに、政秀・恒興両名は眉を寄せた。それは黒漆の箱で、蓋には織田家家紋・織田木瓜紋が金彩で描かれている。
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