第五話 老臣・平手政秀、健在なり!

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 守護代に仕える自分が上と思っているのかわからないが、()(そん)な態度は目に十分に現れている。嫌味を言いに来ただけなら帰って欲しいが、相手は守護代の家臣である。 「そのようなことはござらん」 「信行どのもそう申された。ただ、殿の心配はもう一つござってな。弾正忠家の跡取りは、信行どのという噂でござる。弾正忠家は守護代を支える立場、(ない)(ふん)は困り申す」 「織田弾正忠家のお世継ぎは、信長さまにござる!」 「信行どのも同じことを言われた。世継ぎは兄上であり、兄上を差し置いて()(とく)を相続する気は(もう)(とう)ないと。まだ十四歳ながら、実に立派」 「これは……?」  散々文句を言った後、大膳がすっと床を滑らせてきたものに、政秀・恒興両名は眉を寄せた。それは黒漆の箱で、(ふた)には()()()()(もん)()()(もつ)(こう)(もん)(きん)(さい)で描かれている。
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