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信盛と成政とは、那古野城織田家家臣・佐久間信盛と佐々成政のことである。
「せっかくの和睦だ。壊れたくはないだろう。爺」
痛い所をつかれ、政秀は信長を制するのを諦めたのであった。
「信長さま、なにゆえ賊は織田家の家臣を襲ったのでございましょう?」
馬屋に向かう道すがら、恒興は眉を寄せた。
国境にいた織田家家臣は、美濃からやってくる輿入れを迎える者たちだったが、その者たちを負かすとはよほどの手練と見える。
「奴らの目的は、織田じゃない」
信長は馬に跨がると、そうきっぱり言い切った。
「と言いますと?」
「どうしてこの時期に、国境に賊が集まり出したのかやっとわかった。誰かが、美濃からの輿入れを賊に教えたんだ。つまり狙いは……」
「まさか――」
恒興にも、ようやくわかった。
賊の狙いが、その輿入れにあると。
「信長さま、いったい何事にございますか?」
血相を変えてやってきた佐久間信盛、佐々成政が馬上の信長を見上げる。
「左様。我らを召すなど……」
信盛に続いて、成政が口を開く。
「これから美濃との国境に向かう」
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