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家臣といえど二心あれば、明日には敵となる。
疑心暗鬼にならざるを得ないのが、弱肉強食の戦国の世である。
裏切られるくらいなら――。
背を向ける家臣たちを幼くして見てきた彼は、真にこの尾張を想い、共に戦う者を求め続けた。
はたして、自分の側に何人残るだろうか。
「馬番でもなんでもしますから!」
突然聞こえてきた声に、信長の二の矢が逸れる。
「――何事だ……?」
「さぁ……?」
お互い眉を寄せ、二人は振り返った。
◆
「しつこいぞ! 小僧」
那古野城虎口(※城の出入り口)にて、少年は城に入るのを城番(※城の守衛にあたった兵士)に拒まれた。
召し抱えてもらおうとやってきたのだが、文字通りの門前払いである。
「そう言わず、殿さまに取り次いでくれよ! 父上も織田家家臣なのに、なんで俺はだめなんだ?」
若すぎるのがいけないのかと思ったが、そうでもないらしい。
父が織田家家臣なのは本当だが。
「戯言を申すな!」
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