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「協力するよ。部活のグループに流して良いか?」「俺も他の学校のグループに」「なら、女子グループにも!」
予想外の返答。彼らは普段通りに返答してくれてた。
「高校が一緒じゃなくなるから、捨てられたのかと思ったよ」
こんなこといつもの僕なら言わない。だけど、なんとなく仔猫を眺めていると話せた。
「馬鹿か。そんなことがあるわけないだろう」「友達なんだから」「なんなら俺はお前と一緒にランク下げようかと思ってるよ」
それからは友人との仲が回復する話になる。
「良い奴らだろ?」
片手に乗ってしまう仔猫を嬉しく眺める。月よりも輝かしい。この子とこの場所で遭遇したのは僕にとって良いことばかりみたい。
どうやら彼らは落ち込んだ僕のことを心配して話し合っていたらしい。そして友情は消えないとのことを確認してたと話してくれた。
更に志望校に合格できる奴もランクを落としたら学年トップの成績になれるからと、僕と一つ下の学校に通うおうかとまで話始める。
流石にそれには僕も賛成はできない。
「待てよ。俺だってまだ第一志望を諦めた訳じゃないから」
つい語ってしまう。だけど、これも嘘じゃない気がしていた。
「勿論そうだよな」「頑張ろう」「みんな一緒に合格だ」
そして友人たちの返答があって、僕の心はやっと暗い底から這い出す。
別に今は難しいと言われただけなのだから頑張ったらどうなるかわからない。まだ落ちた訳じゃないんだから。前を向いて進むことを拒まれてない。
それから僕は友人たちとまた受験勉強を頑張ることを誓う。
心は晴れやかだ。膝でまだ僕の手でじゃれている猫を見ると、勇気が湧く。
「お前のおかげなのかな」
またしてもこんな風にこの子のおかげで救われた。月と猫の魔法みたい。
なら問題は全て無くしてしまおう。恋心。そんなものは忘れたら良い。
そうするための方法を考える。パンと手を叩いて自分に催眠術でもかけられたら楽なのに。
たとえ彼女に恋人が居たところで、それは僕が彼女をきらいになるだけの理由にはならない。だって僕は彼女が好きなんだから。
困ったどうしたら良いのかわからない。誰かに相談しようか。友人たちなら聞いてくれるだろう。でも自分で決着をつけたい気分でもある。
「やっぱり消そう!」
僕は思い立ち上がると仔猫を掲げて宣言する。月を眺め僕は叫ぶ。心の丈を全て。
「忘れるんだ」
想いなんて綺麗簡単に消えてしまいそうだから誓う。
僕はもう彼女に恋なんてしない。別に彼女じゃなくったって恋なんかできるんだろうから。新しい恋に進めば良い。
でもそれはちょっと待とう。いや、別に未練が残ったからじゃない。今は受験勉強。恋なんかを気にしている場合じゃないんだ。
抱きしめていた腕で仔猫が「にゃーん」と長く鳴いている。ちょっとこれまでとは違う様子。
「どうしたんだよ。新しい始まりなんだ。俺はこれから違う人間になるんだ。お前も喜んでくれよ」
ニコニコとしながら仔猫に頬を当てる。少し冷たくって、それでも暖かい。この子にもこの暖かさは伝わっているだろうか。これは僕の心だから。
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