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「まだ焦らなくてもいいんじゃない?ってアドバイスしたいけど、焦るよね?」
どちらかというと、結婚にこだわりを持っていない様子の聡美は、将来に向けて株やら財テクをしている。
私も何度か良株を勧められたが、もしかしたら減るかもしれないというリスクを思うと、とてもじゃないがギャンブルに手を出す気にはならない。
「だから今夜、話してみようと思って」
「あぁ、それでどこか上の空だったんだ」
「だって、話の流れによっては別れ話になるかもしれないし」
「そんな大袈裟な。ちょっと探るくらいでいいんじゃない?」
いつもなら気が楽になるだろうアドバイスも、今日の私は受け付けない。
「でももし、向こうに結婚する気がなかったらこのまま付き合うのはムダでしょ?私はやっぱり結婚がしたい。女の幸せは結婚なんてことは言わないけど、それでも好きな相手と添い遂げたいと思うのは自然なことだもん」
同僚の生き方を否定しないように気遣いながらも、思いの丈を打ち明ける。
すると私が本気だと察した聡美は「そこまで言うなら、とことん話し合えばいいよ。もしそれで向こうが乗り気じゃないなら、さっさと別れて次を探せばいいんだし」と、現実的な助言をしてくれた。
そうは簡単に割り切れないとは思いつつ、有り難く力にさせてもらう。
いざ、決戦だ。
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