570人が本棚に入れています
本棚に追加
/327ページ
「びっくりしちゃった、まさか聡美が後輩だったなんて」
「そうだな…」
「でもこんな偶然ってある?聡美はいつも、私に相応しい相手か見極めてあげるって言ってて、男の人を見る目も厳しいの。それが侑斗なら安心して任せられるって。私もなんだか認められた気がして嬉しかったなぁ」
そう言って、侑斗の腕に少し体を寄せる。
聡美と別れてから、いつもの個室がある和食屋に向かうところだ。
侑斗は、あまり外ではくっつきたがらない。
私としては腕を組むまでいかなくても、手を繋いだりしたいが…恥ずかしいからと言って、ただ隣同士で歩くだけ。
その分、2人っきりの時はよく甘えてくる。
そんなギャップも、侑斗のことを好きな理由の一つだけれど。
「聡美は学生時代、どんな感じだったの?」
「どんなって、あんまり親しくなかったから。それより、お母さんからの電話は何だった?」
「あぁ、お母さん?」
もう少し聡美とのことを話したかったが、やや温度差が違う感じがした。
言うように、それほど仲が良かったわけじゃないのか?
それよりは、侑斗が母親のことを気にしてくれていることが、私の心を満たしていく。
やっぱり、この人を選んで正解だったんだ。
細かな気遣いのできる相手に巡り会えて、私はなんて幸せなんだろう?
最初のコメントを投稿しよう!