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「これから春香は幸せになるんだから、変なケチつけないでくれる?」
私のことを守るように、聡美が前に躍り出る。
「てっきり聡美先輩も現実主義だからこっち側だと思ったけど、意外とロマンチストなんですねー?」
「あんたが極端なだけでしょ?」
「そうよ。それに相手のことを信じてないって、なんだか寂しくない?」
そう尋ねると、菜々が薄っすらと笑う。
「それは、春香先輩が幸せな人生を歩んできた証じゃないですか?」
なんだか馬鹿にされているようで、いい気がしない。
言い返してやろうと思ったが「男に捨てられて死のうとしたことあります?」と訊かれて、何も答えられなかった。
「ほうら、やっぱり幸せなんですよー!」
「わ、私だって何日もご飯が食べられないくらい失恋したことあるわよ」
「わぁ、可愛いですねー?」
「あんたねぇ…!」と、今にも飛びかかりそうな勢いの聡美を抑えるが、当の本人は全く気にしていない様子。
「私なんてこの前、知らないうちに不倫させられてて、危うく慰謝料を払わされそうになったんです」
「慰謝料?」
「最近、タチの悪いのがいるんですよ。わざと結婚してるのを隠して出会い系に登録してるクズ男がいて」
そんな男がいるのか?
それって、もう犯罪に近いんじゃないの?
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