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「結婚すんだな？」
淳司の言葉に、浮かべていた笑顔が引いていく。
かつて私が思いを寄せていた、幼馴染。そして多分、淳司も私のことを…。
「おばさんから聞いたよ。プロポーズされだんだろ？」
「…うん」
「良さそうな人だって言ってた。これで安心できるって。おばさん、お前に寂しい思いをさせてきたって」
「お母さんが？」
「だから…良かったな」
再び目尻が下がると、私のよく知っている幼い頃の淳司だ。
「アッくん、わざわざそれを言いに来てくれたの？」
「ついでだよ、ついで。しばらく会ってなかったから、もしガサツな春香のままなら注意してやったほうがいいと思ってな」
「ちょっと、ガサツってなによ？」
「もっと女っぽくしろってことだよ。飯もガツガツ食うんじゃなく、ゆっくりおしとやかに食えよ？じゃないと捨てられんぞ？」
「なによそれ？まるで私が食いしん坊みたい──」
「幸せになれよ」
そう遮られ、私たちはしばらく見つめ合った。
大人になった淳司は、どこか晴れやかな顔をしていて。
きっと心から私の幸せを祝福し、願っているのが伝わってくる。
「うん…私、幸せになるよ」
そしてそれを、この人に伝えたいと思う。
約束したいと思う。
必ず、幸せになるのだと。
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