知らないうちに不倫してました

【不倫してるよね？】

えっ、不倫？

なに？どういうこと？

頭が混乱する私を鋭い目で見据え、侑斗が口を開く。

「だって、俺と春香は結婚するんだろ？それなのに他の男と見つめ合うって、それって不倫以外になにがある？」

「それって…アッくんのこと？それなら違うの、私とアッくんはそんなんじゃないから」

軽く笑い飛ばしてみたが、侑斗は険しい顔のまま。

「何も聞いてないけど？」

「えっ？」

「そいつのこと、俺は何も聞いてない。不倫じゃなくても、熱く見つめ合う男友達がいるなんて聞いてないから。それにさっき聞いたよね？来たばかりなのかって。でも春香は嘘を言った。それとて隠してたってことだろ？浮気を疑われても仕方がないんじゃないか？」

「お願いだからちょっと待って。本当にただの幼馴染だから。別にわざわざ侑斗に言う必要がないくらいの…」

弁解しながら、それは淳司のことを貶めていることに気づく。

それでも「本当に話すまでもないの」と、さらに貶める。

だって、私にとっては侑斗のほうが大切だから…。

「電話して」

「えっ？」

「そいつに電話して、もう二度と会わないって言うんだ」

「ちょっと…本気？」

薄っすら笑いながら尋ねた。

なにかの冗談だと言って欲しくて──。

「できないの？」と、侑斗はどこまでも真顔だ。

「それは…」

「じゃ、春香は俺のことを愛してなんだな」