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※シーン04:弟の目的?
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※シーン04:弟の目的?
「弟よ、さ、これで用は済んだだろ。帰るぞ。もうすぐ空港へ向かわないと」
不意に腕時計をみやった映瑠が腰に手を当てんばかりに言った。
しかし。
「空港?なんで??」
「は?帰れよ」
「え、無理。」
「は??」
「まだ目的を達成してない!…相方を説得してないもん」
「は???」
いろいろと笑顔の向こうから漏れ出ている兄である。
「りあむさん、相方さんて?」
「そこ拾わんでいいから」
だからいろいろと……まあいいや。
「んん?オレ、こう見えても、割と有名なんよ?『楠木リア』(くすのきリア)って名前で、」
楠木リア(くすのきりあ)という名に、すもあがいち早く反応した。
「りあたん?!!……たぬちゃんの、現役時代の相方さんじゃなかですか?!!」
そうなのだ。
すもあが心酔している綿貫(わたぬき)サクマの相棒としてよくセット売りされていた有名配信者の一人が楠木リア(くすのきりあ)こと木崎(きさき)りあむだった。
さっき感じた『どっかの配信者っぽい』は完全に当たりだったのだ。
「たぬちゃん……あ、綿貫(わたぬき)サクマのこと?そーそ、その……」
ちら、と横に流れた視線をがっちり受けとめて、表情のない笑みを浮かべる兄・映瑠(えいる)である。
「……ん?なに?弟よ」
「うん……そのサクタローをね、説得して、また活動再開させたいんだよね、オレ…」
その一言に、すもあは思わずかじりつかんばかりの勢いで食いつく。
「そ、それは……!!」
「すっごく気になる……けど。」
けど。
そう続けて、すもあは息を深く吸い込み。それを飲み込むようにさらに言った。
「でも、今はまだたぬちゃんの意思を待って欲しいかも……です」
すもあの気づかない所で、映瑠(えいる)がそっと目を伏せる。
「でもあたし、何も知らないんだよね……たぬちゃんの事」
「えっ……」
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