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第31話 (蒼side)
朝一番で宅急便が届いた。
差出人は坂野蔵真悟。瀬乃道で会ったフォトグラファーの人からだった。
箱を開けると、簡単な冊子と手紙、もうひとつ封筒が入っていた。
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如月蒼くんへ
瀬乃道ではありがとう。
写真集のおおまかな骨組みができあがったので、見本を送りました。
1、2枚の予定が、思ったより多く使いたくなってしまって、驚くかもしれない。見てもらえるだろうか。
最初は、風景しか撮るつもりはなかったのだけれど、君たち2人に出会って、思わずシャッターを切ってしまった。
彼女の君に向ける笑顔と、君が彼女に向ける目がとても印象的で、目が離せなくなってしまったんだ。
うちのスタッフが気がついたんだけど、女の子の方は、有名な子だったんだね。だから女の子の方には直接事務所に連絡して、既に許可をもらっています。
あとは君の許可をもらうだけなんだけど、いい返事をもらえることを願っています。
どうかいつまでも仲良くいてください。
坂野蔵真悟
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封筒を開けると、璃世を見ている自分が写った写真と、璃世の笑っている写真の2枚が入っていた。
冊子の表紙には
「指先で恋をする 坂野蔵真悟」
と書かれていた。
時計を見るともうすぐ11時になろうとしていた。
璃世は大河の彼女の「フリ」をして、大河のお祖父さんの誕生パーティに行っている。
大河は今まで誰にも「フリ」なんか頼んだことはない。
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