#1 私の名前は北上瑞樹

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夜8時 郊外にある人通りの全くない路地。その真ん中で男は電話していた 『なんだい。結局今日は()らなかったのか?』 「邪魔が入りました」 電話相手の男は気色が悪いほどに上機嫌な口ぶりだが、男はそうではなく冷静に受け答えした 『まさか…暗殺を悟られてないだろうな?』 「いえ、それに関しては保証します」 『そうか。まっ!妾には彼奴が死のうが生きようが…どうでもいいけどね』 「……」 『どちらかというと…半分の為の暗殺になっちゃったけどね!』 やはり、気持ち悪いくらい機嫌が良い。男はどうもそれが肌に合わず 「とりあえず、俺が報告すべきことは全て報告しました。では」 そう言い切って、相手の返事を聞く間もなく無理に電話を切った そしてため息をつく 空気が澄み切った冬の黒い夜空に満月が光を彩る だが、その男にとってはそんな景色に興味はなかった 彼が興味を持つのは、ただ「あの男」を殺すこと。それだけだった
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