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夜8時
郊外にある人通りの全くない路地。その真ん中で男は電話していた
『なんだい。結局今日は殺らなかったのか?』
「邪魔が入りました」
電話相手の男は気色が悪いほどに上機嫌な口ぶりだが、男はそうではなく冷静に受け答えした
『まさか…暗殺を悟られてないだろうな?』
「いえ、それに関しては保証します」
『そうか。まっ!妾には彼奴が死のうが生きようが…どうでもいいけどね』
「……」
『どちらかというと…半分オヌシの私念の為の暗殺になっちゃったけどね!』
やはり、気持ち悪いくらい機嫌が良い。男はどうもそれが肌に合わず
「とりあえず、俺が報告すべきことは全て報告しました。では」
そう言い切って、相手の返事を聞く間もなく無理に電話を切った
そしてため息をつく
空気が澄み切った冬の黒い夜空に満月が光を彩る
だが、その男にとってはそんな景色に興味はなかった
彼が興味を持つのは、ただ「あの男」を殺すこと。それだけだった
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