少女の霊は、和服よりドレスが着たいらしい

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少女の霊は、和服よりドレスが着たいらしい

「ばあちゃん、僕は、あなたの孫である事が恥ずかしくなります」 言いたくても、言えない。けど、背中に向かってなら言える。ばあちゃんは、僕に背中を向けて爆睡していた。 「聞こえないふりするのは、やめてください」 僕は、心から訴えた。何で、前の学校でも、問題児だったこの子を家に入れるかな。 「あのさー。怒るより、どうして、ここに来たのか、俺に聞くべきでは?」 「いや、認めない。認めないぞ。どうして、勝手に家に入る?」 「意外と、しつこいタイプ?用があって、来たんだけど。あれ?妖怪は?」 「ここに・・何て、事言うんだ。人の家の婆さんを」 「乗っているね。先生。話があって、来たんだけど」 どうしても、僕に話があると言うので、仕方なく、家のリビングに通す事にした。直接、彼と関わった事はない。職員会議で、何かと話題になり、静かに暮らしたい僕は、絶対、関わりたくないと思っていた。その話題と言うのも、空き家での火事騒ぎ。アパートでの騒音、他人の土地への不法侵入。留めは、資産家の家の蔵からの窃盗。 「垢割りたくないって、顔に出ていますよ」 「どうして、ここに来た」 拉致が開かないので、早く話を聞いて、帰そうと思った。 「僕が話があるので、なく。僕は、伝えるだけです」 「何だ?それは?」 彼をみんなが、怖がる理由が、ここにある。火事騒ぎも、騒音騒ぎも、霊がらみだった。 「そう言う誰かに言わされた的な物言いは、止めてくれないか?僕は、苦手なんだよ」 「だから、僕が来たんです」 と言いながら、颯太は、目線を天井に向けて、急に離し出した。 「どうする?自分で言いたい?」 「いや・・・ちょっと、待て。誰と話している?」 「えっと・・・どうしよう」 颯太は、困った様に、辺りを見回した。 「大丈夫かな?」 「何を心配しているんだ?誰も、いないだろう?」 僕は、颯太が、周りを気にしているので、嗜めた。誰に気を使うと言うのだ。 「じゃぁ・・いいですかね?」 「風雲。光を集め、その姿を現せ」 そう呟くと、目の前に逆さになった少女の顔が現れた。髪が逆立ち、目の前で、微笑む口元は、耳まで、裂けている。 「これって?」 僕の声は、うわずっていた。 「幽霊?」 「ですやん」 僕は、気を失っていた。
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