美しいユリ

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「ナニコレ? ウマ男、有馬優駿(ありまゆうしゅん)。聞いた事ねぇアニメだな」  陽キャの兄貴に、オレの推しアニメをバカにされた朝。 「……うっせーな」  ボソボソと言うと、顔も見ずに玄関を出た。兄貴の彼女が、明るく「おはよー!」と言った。オレみたいな陰キャにも挨拶してくれる、いい人だとわかっているが「……うす」としか挨拶できない。2ケツで通学なんて、リア充すぎて直視できない。兄貴を横目に駅へと向かう。  クラスガチャハズレで、友だちもいない。よりによって、陽キャ率高めのクラスだ。オレとクラス委員の女子が、陰キャの二大巨塔だ。  休み時間は、唯一のオアシス。ウマ男好きな友だちと、ウマ男談義に花を咲かせる。 「今度、兄貴がコミケ行くって言ってるから、オマエも行くか?」 「行きたい! てか、オマエの兄貴ネ申なの?」 「別に。ただのオタクだけど」  そんな兄貴、オレもほしい。
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