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ベンチに座ると、やっと解放された。女性に身体の一部を触られたことに、ドキドキが止まらないでいた。しかも、憧れのオークスのレイヤーさんだ。
「アンタ、痩せたよね。有馬優駿になるために、がんばったんだ?」
「はいっ!」
背筋をピンと伸ばし、大きな声で返事をした。
「私が誰だか、わからない?」
「わかりません!」
「こうやって、も?」
オークスが、手でメガネポーズを作ってみせた。ただかわいいだけで、まるで誰だかわからず、首を傾げた。
「そっか。じゃあ私、ちゃんと化けられているんだね」
にっこり笑うと、綺麗な白い歯が見えた。アニメの中のオークスが決して見せない表情。それがオレのハートをガッチリ掴むと、離してくれなくなった。
「今度来る時は、もっと身体作ってきなよ」
「はい! ありがとうございました!」
ベンチから立つと、身体を半分に折り曲げて、去り行く背中を見送った。
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