最終話 私の幸せは私が決める

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笑いながら彼は私の希望など聞かず、それをふたつ注文した。 「ちゃんと食って、ちゃんと寝ろ。 仕事に逃げるな。 天倉さんを取り戻すにしても、夏音ちゃんになんかあったら、話にならないんだからな」 「……はい」 檜垣さんの言葉はもっともすぎて、肩を丸めて小さくなった。 確かに今、私が倒れたら、有史さんを取り戻すどころではなくなる。 「俺が絶対になんとかしてやるから、心配しなくていい。 大船に乗った気でいろ」 「……ありがとう、ございます」 力強く彼が頷き、少しだけ肩の力が抜けた気がした。 しっかり昼食を食べて会社に戻る。 まともな食事をしたのは、いつぶりだろう? それくらい、有史さんがいなくなってから荒んだ生活をしていた。 「さてと」 帰ってきていた末石専務を含めて作戦会議……ではなく。 檜垣さんの説教が始まった。 「末石さん、社員の管理ができてなさすぎ。 このところ夏音ちゃんが突出して残業してんの、おかしいと思わなかったのかよ」 「うっ」 彼の正論に、末石専務はなにも返せないようだ。
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