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「夏音ちゃんも。
会社のシステム切ってから、残業してんだろ?
誰がそんなことしていいっつった?」
「うっ」
檜垣さんに睨まれ、ソファーの上で正座しそうになった。
「だって、バレたら怒られると思って……」
「どっちにしろ、怒られるの。
だからこれからは絶対にやるな!」
「は、はいっ!」
特大の雷が落ち、飛び上がった。
「そんな悪い子にはこれ、やれねぇな」
テーブルの上に滑らされた封筒を見つめる。
「これは……?」
「天倉さんが出席しそうなパーティの招待券」
これがあればまた、有史さんに会える……?
しかし、あのガラス玉のような目を思い出し、伸びかけた手は止まった。
また、私なんて知らない人だと言われたら、今度こそ立ち直れなくなる。
「……行かない」
手をぎゅっと握りしめて止め、嫌々と首を振る。
「夏音ちゃん?」
「行けない」
有史さんは今、私のことをどう思っているんだろう?
もしかして嫌いになった?
そんなことはないとわかっていながら、それでも知るのが怖い。
「そうだよな」
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