最終話 私の幸せは私が決める

6/21
前へ
/214ページ
次へ
おとなしくキリのいいところでパソコンを落とした。 休憩コーナーでコーヒーを飲みながら末石専務の仕事が終わるのを待つ。 「安心した、前より顔色がよくなってる」 檜垣さんは改めて私の顔を見て、嬉しそうに笑った。 「檜垣さんのおかげです」 あのあと、彼が医師を紹介してくれ、軽い安定剤を処方してもらっている。 おかげで、ぐっすりとはいかないが疲れが取れる程度には眠れているし、普通よりは少し少ないくらいだが食べられるようになっていた。 それに、できるだけ元気でいなければと思ったのもある。 「夏音ちゃんはそうやって、笑ってるほうがいいよ」 私の頬をするりと撫で、檜垣さんの手が離れていく。 それを、なんの感情もなく見ていた。 やはり、私は彼になにをされてもドキドキしないらしい。 「待たせた」 少しして、片付けを済ませて末石専務が来た。 今日はもう全員帰ったのか、電気が消えている。 「肉食いに行くぞ、肉」 「お前はほんと、肉が好きだな」 笑いながら末木専務が鍵をかける。
/214ページ

最初のコメントを投稿しよう!

506人が本棚に入れています
本棚に追加