第1話 僕と結婚してくれないかい?

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外から帰ってきた部長が横を通る際、コピーを取っていた派遣社員のお尻を叩く。 「あっ」 彼女は驚いて部長を睨んだが、部長は詫びるどころか。 「なんだ、その目は 派遣のお前なんか、俺の一声でクビにできるんだぞ」 部長に脅され、彼女は悔しそうに俯いてしまった。 「お前らも、俺の一存でいつでもクビにできるんだからな」 ことの成り行きを見守っていた部内を睨めつけ、部長は自分の席へ着いた。 私のいるインテリアデザイン部では、近頃来た部長のセクハラ、パワハラが横行していた。 別の建築会社を早期退職し、社長の縁故でやってきた彼は、社長の威を笠に着て好き放題やっている。 「西田(にしだ)!」 「はい!」 部長に呼ばれ、弾かれるように立ち上がった佳子(よしこ)は、真っ青な顔で部長席へ駆け寄った。 「こんなデザインが認められると思ってるのか?」 これ見よがしに部長が、机の上にデザイン画をバサリと投げ捨てる。 認められるもなにも、部長にデザインの善し悪しはまったくわかっていない。 先方の言いなりだ。
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