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「肉が好きなのになんで、焼き肉屋の経営をしてないんだろうな?」
「知るか」
ふたりの掛け合いがおかしくて、笑ってしまう。
――でも。
ここに、有史さんがいたら。
つい、そう考えて淋しくなった。
檜垣さんのリクエストで、焼き肉だった。
案内された個室で、檜垣さんは高い肉をバンバン頼んでいる。
「お疲れー」
ふたりはビールだったが、私は遠慮させてもらった。
今飲んだら、悪酔いしそうだ。
「とりあえず、食おう。
俺、腹が減ってるんだ」
届いた肉を檜垣さんはどんどん焼き、私のお皿に入れてくる。
「ほら食え、どんどん食え」
「俺は?」
「末石さんは自分でできるだろ」
「なんか俺の扱いが酷いな」
笑いながら末石専務は自分でお肉を焼いていた。
「んで、これからの話だけどさ」
ある程度お腹が満たされ、ようやく檜垣さんが本題に入る。
「これまで俺が会社を乗っ取ったりして、天倉さんの反応を見てきたわけだけど」
檜垣さんが我が社の社長になったのって、有史さんの反応を見るためだったんだ。
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