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「それに俺は、あのスカした天倉さんが、慌てふためくところを見てみたい!」
「……は?」
檜垣さんの主張で、末石専務とふたり仲良く同じ一音を発し、まじまじと彼の顔を見ていた。
「いっつもそれがどうしたの?って、見下したみたいに笑っていやがって。
高校時代からの付き合いだが、俺はあの人が取り乱したのを深里ちゃんが亡くなったときしか見たことがない。
てか、あれは取り乱さなければ人間かどうか疑うレベルだ。
そんなわけで、俺はあの人を慌てふためかせてみたい」
一気に飲み干したジョッキをドン!とテーブルに置き、檜垣さんがにやりと笑う。
「なあ、末石さんよ。
あんたもそう、思わないか」
「……確かにな」
末石専務は頷いているが、まさか彼まで乗るとは思わなかった。
「そんなわけで、俺が最高のプランを考えてきた。
次はこれを実行する」
いたずらっ子のように楽しそうに、檜垣さんがプリントされた紙を配ってくれる。
そこには、檜垣さんと私の婚約発表会について書かれていた。
焼き肉に行ってから一週間後。
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