最終話 私の幸せは私が決める

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はぁーっと檜垣さんが嫌そうなため息を吐く。 それは私も一緒の気持ちだ。 「それで? 親父さんとお袋さんは納得してくれたのか?」 「ああ。 前から推してる人がいてね。 一族外の人間だから難しかったんだが、しっかり根回しも済んだ。 もう跡取りの心配なんかしないでいいし、孫の顔が見たいのなら努力はする。 とりあえずこれで我慢しろって犬を買ってやったよ」 「犬!?」 有史さんはこれで万事解決って感じだが、それで本当にあのお義母さんが納得したんだろうか。 「そう、犬。 一緒に選びに行って、黒の豆柴を買った。 子供の頃に犬を飼いたかったけれど両親に反対されたとかで、大喜びしていたよ」 思い出しているのか、有史さんは笑っている。 お義母さん、孫の代わりに可愛がる対象ができてよかったのかな……? 「それはいいが、なんで夏音ちゃんにあんな冷たい態度を取ったんだよ? 連絡くらい、入れりゃいいものを」 うんうんと勢いよく私も頷く。 連絡くらいくれれば、こんなに悩まなかった。
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