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きっと、わかってくれたんだと思う。
「……夏音」
彼が私の頬に触れ、じっと見つめている。
ねだるように私から目を閉じた。
すぐに唇が重なり、彼の熱を移される。
「……」
唇が離れ、ふたり熱い目で見つめあった。
ゆっくりと彼の顔が近づいてきて、耳もとへ口を寄せる。
「……赤ちゃんが、欲しい」
艶を帯びたその声に、黙って頷いた。
その日は完成したcadeau de Dieuに来ていた。
「さすが、僕が見込んだデザイナーだね。
予想以上のできだ」
「ありがとうございます」
タキシード姿で褒めてくれる有史さんを、笑って見上げる。
もちろん、私もウェディングドレス姿だ。
有史さんもだが、施工主である檜垣さんも喜んでくれた。
それどころか。
『夏音ちゃーん、最高だ……!』
と、抱きついて私にキスしようとして、有史さんに叩かれていたけれど。
「じゃあ、準備はいいかい?」
「はい」
有史さんに促され、彼の手に私は自分の手を乗せた。
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