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「おれよりマサの方が真剣だよね。あと1年あるのにさ」
「リッキーがバカだから心配なの。スベッて浪人とかマジでやめてね」
「それいつも言うよねぇ。大学から同級生って面白いと思うんだけどなぁ」
リッキーは、のんき者だ。本当にやりかねないから恐い。
落ちていくジェットコースターから悲鳴が聞こえる。
オレの親友があんな風に、大学受験に落ちませんように。つい、そんな心配までしてしまう。
しまらくこども遊園は、地味な遊園地だった。
と言うか、子供向けだ。
あるのは、今オレたちの並んでいる小型のジェットコースター、馬の顔が怖いメリーゴーランド、コーヒーカップとの違いが分からないティーカップ、ゴンドラ部分が8部屋しかない観覧車。
それと黄色いロープを掛けられて、飛べなくなった空飛ぶじゅうたん。赤ちゃんでも乗れるような、小さな青い、顔のついた汽車。
その辺に放置されている動物の形の四足歩行のロボット、移動はできなくて中が見えるタクシーや消防車は、100円玉を入れると動く。
お金を使わなくても遊べる、プラスチックのすべり台やジャングルジムがある広場も、対象年齢は12歳まで。
あとはボロっちい売店と、延々しゃべり続けるポップコーンマシンと、ちょっとした動物園エリア。いるのはサル山のサル軍団、ちっとも見かけないリスの木立、ふれあいコーナーのウサギとモルモットと、大きなオリに入った大きな鳥。カモの池に居るカモは、野生かも知れない。
その間を、外国のバスみたいな、赤色のバスが走る。
子供の頃からずっと来ていたから、何も不思議には思っていなかった。もちろん地味だとも。
ただ少し前に、車で1時間の場所に、大型のテーマパークができた。
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