3.ヒーローと交流タイム

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オレがそう言った時、リッキーの反対側から、ダンサーの女の人が1人、近付いてきた。 白塗りにメイクをしているから彫りが深く見えるだけかと思ったら、明らかに鼻が高くて、目が水色だ。外国人だった。 その人はオレが教えるより先に、トントンとリッキーの肩を叩いた。 振り向いたリッキーも、相手が外国人だとすぐ気付いたらしい。 「オーゥ! ハロー、アイファイセンキュー」 カタカナ発音の、とりあえず知っている英語で嬉しそうに言っている。日本で働いている遊園地のスタッフなので、日本語で通じそうだが。 女の人は何も言わず、スカートのすそをつまんでお辞儀をした。言葉を話さないキャラクター設定なのかも知れない。 別のダンサーがインカムで話しているのを、オレは見てしまったが。 この外国人のダンサーは、客だったはずのリッキーのパフォーマンスや盛り上げ力に感心とか、感謝していて、それを伝えたい。そういう風に見える。 なぜかリッキーも無言になり、見えないスカートをつまむようにして、足をクロスさせた。かしこまった顔なのがまた面白い。 男だからそのやり方は違うと思うが、オレも正解は知らないので何も言えなかった。 女の人は体を起こすと、両腕をリッキーに向かって広げた。 リッキーもまた、同じようにする。鏡に映したみたいに、表情まで似せようとしながら。 人間の真似をするサルみたいに見えて、ついにオレは吹き出してしまった。 リッキーの背中を軽く押す。 「違うよ、ハグだって」 「あ、ああ。ソーリー、ソーリー」 リッキーがようやく理解して、ココアを片手に持ったままハグしに行く。 女の人も笑顔で、2人はそっと抱き合った。 デートはできなかったけど、女の人とハグできて、いい思い出になるだろう。しかも、そんな薄い衣装の女の人と。 と、思って見ていたら、女の人が、リッキーの頬にキスした。
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