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そこは何もかも最先端で、園内にはレストランがいくつもあって、建物は海外の街並みを再現していたり、屋内のアトラクションもあったり、売店ではSNS映えするカラフルな食べ物が売っていたりした。マスコットキャラの着ぐるみも、新品らしく綺麗だった。
オレはお父さんがミーハーだから、行きたいと言われて、仕方なくついて行っただけ。この歳で親と一緒に遊園地なんて恥ずかしかったし、絶対知り合いに会うと思ってビクビクして、全然楽しくなかった。
けれど、そこでオレは気付いてしまった。
オレの思い入れのある場所は、ただの田舎の、経営難の、老朽化した、子供向けの遊園地だと。
オレは、一応、東京生まれだ。いとこも東京にいて、おばあちゃん家も東京にある。
幼稚園から小学校に上がるタイミングで、お父さんの仕事でこの田舎に引っ越して来た。
その春休みの間に初めて出来た友達が、今も隣にいるリッキーだ。出会ったのもこのしまらくこども遊園で、偶然、住んでいるマンションが同じだった。
オレのたった1人の親友は、1つ年上で、愛すべきバカというやつだ。
さっきも『永らく』を「えいらく」なんて昔の貨幣みたいな読み方をしていた。もし、えいらくだとすれば、その後に続く文章をおかしいと気付かない所がヤバい。
漢字にも弱いし、かと言って理数ができるワケでもない。勉強もできなければ、足もそれほど早い方でもない。
下の名前が力だから、音読みにして、リッキーなのだが、そんなに強そうな見た目でもない。
高校生になってからは、身長も伸び悩んでいる。現時点では、まだオレの方が小さいので、そこはイジれないが。
別に本人は、何にも悩んでなさそうに見える。
誰にでも優しいし、いつも明るいから、友達は多い。周りが助けてくれるから、愛すべきバカなのだ。
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