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『私は、RENAさんのことを尊敬しています。それはイラストと声が可愛いからではありません。そのようなネットアイドルはたくさんいます。彼女は、ゲームをプレイしていても、メッセージに返信する時も、私達ファンを楽しませる努力を怠りません。いつも一生懸命で、誠実です。……彼女と同じだけの努力ができる人が、この中にどれだけいますか?そういうものを一切見ないで、何も悪いことをしていない彼女を正義ヅラして叩くのはあまりにも馬鹿らしい。恥を知りなさい』
そのコメントで、アンチの一部はさらに燃え上がってしまった。しかし同時に、“よく言った!”“自分達がレナさんを応援しているのはそういうところだ、よくわかってる!”と援護射撃をしてくれるファンも現れたのである。
そして私もまた。画面の前で――涙をこらえきれずにいたのだ。
「……ありがとうございます、8号さん」
ああ、この気持ちを、なんと言えばいいのか。
「中の人は確かに、このイラストにあるような可愛い女の子ではありません。そして、本当は臆病で、けして社交的な性格でもありません。エンジェルの設定にあるような、魔法だって使えない。でも。……でも、ファンのみんなのことが大好きで、みんなを楽しませたいって思う気持ちには嘘はないです。それが、RENAの真実です」
今、気づいたのだ。自分は理想のアイドルに化けているつもりだった。でも、こうして画面の中で頑張っているRENAもまた、紛れもない私自身なのだということ。それを、誇りに思ってもいいということを。
「何もかも、ホンモノじゃないかもしれない。それでもどうか……これからもRENAを応援してください、よろしくお願いします!」
また、泣きたくて、逃げたくなる時はきっとあるのだろう。でも、そんな自分を見てくれる人は確かにいる。努力を続ければそれは、必ず誰かが気付いてくれるとわかったのだから。
もう少しだけ、やれるところまで頑張ってみよう。
いつか画面の前の自分自身のことさえも、好きになれるその日まで。
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