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紅
赤い
朱い
紅い
紅葉道
まるで血に染まったようなその赤の下で
紅葉の紅で染め上げたような赤いドレスで立っている、濡れ羽色のたおやかな髪、雪原のような白い肌、まるで射殺す様な鋭い視線の黒い目が私を見つめる、目線と相反するように紅いマットな質感の唇が弧を描いている
その手にあるのは白い花が集められたブーケ、
幼馴染の結婚式帰り、勝ち取ったブーケはその赤いドレスによく映える
私達は恋人同士、世間一般的なものでない同性の恋人、ブーケを取って喜ぶ彼女を怒らせたのは私だ、
「私達も結婚したいね」
なんていう彼女に不安が言わせた
「別の人となら結婚できるよ」
なんてふざけた言葉、別に言いたかったわけじゃない、別にそうして欲しいわけじゃない
「なんでそんなこと言うの!」
と怒る彼女、幼馴染の結婚式を羨望の目で見ていた彼女、私だって結婚したい、でもこの国でそれは出来ない、救済のようにあるパートナーシップなんてものは本当に籍を変えられるわけではない、周りの理解はあっても少し輪からハズレれば異端の様に見られる
多様性という言葉は広がったばかりで完全に浸透したわけではない。
根っからのヘタレで不安症な私を強く支えてくれる最高のパートナー、それでも私は言ってはいけないことを言った。
「酷いこと言うヘタレでも私は貴方と結婚したい」
怒る目と微笑む口はどちらが本心か、どちらも本心か、
「ごめん、不安になって、私も貴方と結婚したい」
そっと抱き寄せキスをする
赤い
朱い
紅い彼女
燃えるような情熱を持った私の紅
愛しい紅
この世で一番紅が似合う彼女はやはり披露宴では紅いドレスを着るだろうか
結婚式、形だけでもしようと思えば出来る、明日、指輪を買いにいこう
私はそう心に決めた。
翌日普段通りに仕事して、プロポーズってどうればいいんだろと考えながら帰宅時間
彼女の指のサイズは知っている、好きな物も、
結婚式に憧れブライダル雑誌を買っていた彼女がリングこれが可愛い!このブランドいいなぁ!なんてはしゃいでたのを思い出す。
リングの様子を思い出して仕事の休憩時間に検索して見つけ出していた。
仕事帰りにそこに寄って、婚約指輪を買う、ルビーの石がそっとハマった可愛デザイン、婚約指輪を渡した顔を早く見たくて早足で帰る
「ただいま」
と言えば先に帰ってた彼女が
「お帰り」
と迎えてくれる、愛しい私の紅が優しく微笑んでいる
「遅かったね」
と言う君に
「渡したい物がいるんだ」
と言って手をつかむ疑問の顔の彼女の手に指輪ケースを置いて蓋を開ける
「結婚式をしよう」
私がそう言うと目を大きく開けてから笑う彼女
「なんで笑うのさ」
私がそう言うと、
「待ってて」と
彼女は指輪を持って自分の部屋に入り出てきて私が渡したのとは違うケースを私の手にのせて開く
「私も結婚式したくって、まさか貴方も買ってるなんて」
1つ間をおいて
可笑しくなって二人で笑う
二人で婚約指輪を嵌めて次の休みに式場探しをしようと約束するのだった。
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