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非日常
私は目を掠める
眩しい‥
電気がついた
バタバタと階段を上がったり降りたりする音が聞こえる
まだ眠いのに‥
あ、そうか!
私は眠気眼をこすりながら、ニヤリと笑う
時計を見るともうすぐ3時半になろうとしていた
カーテンを開けて、外の世界を見下ろす
目の前の川を隔てた道の向こう側の街灯を、恒例のこの日の朝に見るのが好きだ
私は窓も開け、外の冷たい空気を感じながら空を見上げると、そこにはブレイブという私の名付けた
悲しく泣き疲れた私が顔を上げた時、一番力強くキラキラと輝く星がいた
後から知ったが、ブレイブとは『勇敢な』という意味
小学生の頃、まだ英語を知らない私がその星につけた名前が、その意味そのものだったことに驚いた記憶がある
引っ込み思案で人見知りな私が、学校で寂しいことや辛いことがあって、泣いたまま寝ようとした時に、初めて彼と目が合った
最初は気づかなかった
だが、泣き疲れて布団から空を見上げた時目の悪い私と目を合わせたのだ
寝る前布団でしばらく泣いて、一度閉めたカーテンを開けるといつもいつも2時頃になると、一番高いところに来たブレイブ
彼との思い出は盛りだくさんだ
その日も私は遠くへ行きかけたブレイブを見上げた後、街灯を眺めセンチメンタルな気分に浸っていた
すると階段を上がる母親の足音が聞こえてきた
『そろそろ起きて!』と私と弟を呼ぶ声がする
『起きてるよー』と私
弟は部屋でまだいびきをかいて寝ている
父親は大体外で車の整備や掃除をしていたのだろうか?
時々、私が2階の窓から月夜の夜空や街灯のある風景に見とれ、センチに浸っている時、そんな私の夢想世界を壊すかのようにその道を歩くことがあるが、どこへ行っていたのか知らない
それを見た私も階段を駆け降りて行き『パパ待って!』と追いかけていく
また時には父が車庫にもおらず、一人気ままに近くの幼馴染の家まで月夜の光を頼りに歩くこともあった
母の作るおにぎりや、煮物、鶏の唐揚げが出たこともある
大人用のコーヒー、私たちのジュースも水筒にいれ、たくさんのお弁当を作る母が、一番最後に母に起こされた弟よりも、一番家族を待たすことになるのは恒例のこと
車の中で『ママ早くー!』と叫ぶ私たち
母が一番早く起きて、一番遅く車に乗り込みさて出発!
私はこのイベントがとても好きだ
必ず窓を全開にして開け、風に吹かれながら知ってる限りのアニメソングを歌う私
空はまだ黒、お星様やお月様を見上げたり、遠出ゆえにいつもと違う車窓からの景色にうっとりする
高速道路に入り、しばらくすると空の色が黒から紺、紺から青、だんだんと水色、時にはうすーいピンクへと移り変わるのを眺めるのがとても好きだ
高速道路から見下ろす街の街灯がずーーっと続く道を見て、気持ちのいい涙が流れることもある
時にラジオからセンチメンタルな曲が流れていたのだろうか
曲と景色が調和して、それに私の心も調和して
いつだったか
幼稚園の頃に取っていた『よいこの学習』に雨の公園が写っていて『ここにいきたい!』と親に訴えると、すぐには叶えてくれなかったけど、何度目か後にその公園の近くを通ることが出来た
雨に濡れたごく普通の公園の写真が、とてもロマンチックだったのだ
空が明るくなるまでの間、起きているのは運転する父と外の風を浴びながらセンチな気分に浸る私だけだった
空が明るくなりかけた頃に、母がお弁当を開け始め、父におにぎりを渡しながら起きてる私にも食べるか確認する
高速の途中のパーキングに行けば、そこで食べる事も出来たけど、早朝に走る車内で食べるお弁当は幸せな思い出となっている
高速道路を降りると、いつもの明るい空の下
夢から覚めて大好きな父の田舎に到着だ
従兄弟たちもいるかもしれない
従姉妹たちと乗り合わせて行くこともある
何しろ父は11人兄弟の末坊で、私の従兄弟は29人
半分くらいは田舎におり、半分は都会へ出てきていた
都会組は仲良く夏休みにはよく泊まり歩きをしたものだし、親同士も仲良く乗り合わせて田舎へ行ったもの
夏休みと冬休みの古き良き思い出
これだけの大親族だ
都会に出てきてる親戚も盛りだくさん
だが、従兄弟の半分の顔もわからず、その子や孫も全くわからない
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