☆01. 恋の始まり

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 さて。風呂も、シャンプー周りも綺麗に掃除した後は、休む間もなく、朝の洗濯に着手する。干し終えたら、今度は台所に戻り、彼のお弁当の準備。それから珈琲豆を挽く。  ハンドドリップのコーヒーが好きだから、それが理由。  彼は大体六時半に起きる。おはようございます、必ずわたしは挨拶する。寝ぼけ眼の彼は、 「ああ。……おはよう」  スマホをいじりながら沸かした風呂へと浸かる。このとき、なにか、話しかけられたら、すぐに応じないと、このあとが怖いので、わたしは学習して、彼の近くにいるようにしている。彼の声が届く範囲内に。 「なぁ。昨日の北朝鮮戦の結果は知っているか?」  サッカーや野球の話題にすぐ答えられないと、機嫌が悪くなる。わたしは答えた。「……はい。2-0で日本が勝ったものと」 「2-1だよ馬鹿。そんなことも覚えられないのか」ち、と彼は舌打ちをする。勿論、わたしは分かっていて間違えるのだ。このひとは、ひとの誤りを指摘するのが性癖だから。「あいつら、日本の飲み物を飲んだらしいじゃないか。……ふん。図々しいな。おまえと同じだ」  ……来た。また始まった。
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