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わたしも、及ばずながらでも、……力になりたいんです」
「……そっか」
「どこに行くんですか?」
しぶしぶといった調子ながらも、葉縁さんは、「……メッセージカードの調達、それから、それを貼り付けるボードの調達とか考えている? これからうちの取引先に行ってお願いして分けて貰おうと思うんだけど。……ついてくる?」
「……はいっ」勿論答えは決まっていた。
* * *
「きみねえ。……通報があったんだよ。こういうことをされると困るんだよ」
朝方、シートの上で仮眠を取っていると、警察のかたに揺り起こされた。わたしは即座に立ち上がり、すみません、と頭を下げる。
「でも。……前例はあります。十九年前のイラク人質事件のときも、キャンドルナイトは開かれたんです。
斯波映火さんは、わたしにとって、とても……大切なんて言葉では言い表せきれないくらいに特別な存在なんです。
そんな彼が、捕まっている。
食料も睡眠もまともに与えられているかどうか分からないのに……」
ほろり、と涙が勝手に零れ落ちた。警官がアワアワする、そこをわたしは、見逃さない。
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