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孤独には慣れていたはずだった。
クラスでは何日も1人を繰り返した。
ここは違う国なのか。みんな優しい。青葉東中の陸上部で良かったと、本当に今思える。
練習用の砂場に入ると、私1人以外は知らない選手だった。
おずおず入る。
少し観察して、何となく練習場でのルールが分かった。
助走する位置のマーキングテープを貼り、並んだ順番を守って練習する。跳躍後は砂をならす。
野球にはないプレーの連発で、私はお腹いっぱいだ。
これから点呼になる。
大会スタッフらしいおじさんがサクサクと学校名・名前・ゼッケンを確認した。ゾロゾロとフィールドへ集団移動だ。ここまで異様に長い時間に感じた。
湿気や無風のせいだけでないが、私は簡易テントの長椅子で妙な息苦しさを感じていた。
ほぼ、ぶっつけ本番の跳躍だ。
結局、練習ではあまり上手に跳べなかった。
私にそれだけの能力がまだないんじゃないか。跳べるだろうか。補助員のゼッケンナンバーのコールで私は肩をビクつかせ立った。
「252番、ササノアヤカさん」
目が回る。滑走路。マーキングテープ。踏切板。
急なスクランブル発進でないのに、私は余裕がないパイロットだった。墜落への恐怖がまとう。
あんなに入念なアップをしたのに、簡易テントに来てから大会特有の空気で動けなかった。
そのせいで身体が冷え切っていた。踏み切り足を無理やり合わせたために、身体は一瞬浮いてから、すぐ着陸した。
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